(左)ハイセンスジャパン株式会社 商品管理部 商品プロモーションG  次長  藤田 祐史 様

(右)株式会社ディー・エム広告社 ビジネスプロデュース部リレーションセールス課 グループリーダー 千葉 拓(インタビュアー)

前編では、”キャッシュバックキャンペーン”を始められた経緯やキャンペーン実施前ならではの苦労をお話いただきました。

購入率・予算・目標台数を見ながら、週次で軌道修正する

 

千葉

ここからは詳しいロジックに触れない範囲で、裏側の運用についても少し伺いたいと思います。

インスタントウィン型のキャンペーンでは、表側の見え方だけでなく、裏側の運用が重要です。

藤田様

重視していたのは単なる応募数ではなく、当選後にどれだけ購入まで進んだかという購入率です。同時に、CPA、予算超過リスク、目標台数も見なければなりません。一度設計して放置するのではなく、応募、購入、登録、問い合わせの状況を見ながら、想定との差分を確認する必要があります。

千葉

弊社では週次で状況を確認し、必要に応じて今後の進め方を相談してきました。結果が良いときも悪いときも、なぜそうなったのかを見ることが大事ですよね。セルインやセルアウトのような指標こそあるものの、市場環境や競合施策にも影響されるため、キャンペーン単体の因果関係として断定はしづらいものです。

藤田様

だからこそ、キャンペーン単体の数字だけではなく、継続して改善していく視点が必要だと思います。次回以降も、週次の打ち合わせは変わらず続けたいと考えています。期待するだけではなく、成果を上げなければいけない。そのための場だと思っています。

途中変更に対して、代替案まで一緒に考える

 

千葉

キャンペーン期間中にも、追加の要望や変更がありました。システム改修が間に合わない状況で、どう対応するか頭を抱えたこともあります(笑)。

藤田様

キャンペーンは始まってから見えてくることがあります。想定より反応が良い、思ったほど動かない、販売店から要望が出る、社内から追加施策の話が出る。そこで「開始後なので無理です」と言われると、打ち手が限られてしまいます。

千葉

すべてを実現できるわけではありませんが、「できる・できない」だけで返すのではなく、代替案まで含めて考えるようにしてきました。

藤田様

販促担当者が一番困るのは相談先がないことです。社内からは何とかならないかと言われ、販売店からも要望が来る。そのときに運営側が一緒に考えてくれることは大きい。価格や機能だけでなく、始まってから頼れるかどうかが継続には重要です。

「何が効いたか」を説明できる設計へ

 

千葉

もう一つ、大きな改善がデータ取得の粒度です。

藤田様

メーカー側としては、キャンペーンサイトのアクセス数だけでは不十分です。どの告知物から来たか、どの流通経路か、どの店舗で購入されたか、どの商品が選ばれたか、応募後どこまで進んだか。そうした情報が見えると、社内報告や次回予算の説明にも活かしやすくなります。

 

千葉

最初はGA(編集注: Google Analytics)でアクセスを見るところから始まり、告知物別の流入、レシート登録、購入まで把握したいという要望に対応していきました。

 

藤田様

その節はご迷惑おかけしました(笑)。ただ、これは非常に大きかったです。

販促担当者としては、社内報告のためにも、次回予算を取るためにも、「何が効いたのか」を説明する必要があります。ただ、「キャンペーンを実施しました」「応募がありました」だけでは、次につながりません。細かく見ようとすると設計も運用も複雑になります。ただ、企画段階で終了後にどのような報告をしたいかを決めておかないと、後から欲しくなっても取得できないデータがあります。

売上だけでなく、ブランドと顧客体験まで含めて判断する

 

千葉

改善提案の中には、結果的に採用されなかったものもあります。例えば、比較的低い特典が出たユーザーの購入意欲をもう一段高める仕掛けなどです。詳細は伏せますが、“当たった人だけが動く”のではなく、“迷っている人をどう購入に近づけるか”という視点です。

藤田様

提案が出てくること自体に価値があります。ブランドの考え方、販売店との関係、ユーザーからの見え方、法務面、運用負荷を考え、採用しない判断をすることもあります。ただ、採用しなかったから不要だったわけではありません。

千葉

“売上が上がるなら何でもよい”ではなく、ブランドへの信頼や顧客体験まで含めて議論する。採用されなかった案も含め、毎回「もっと良くできないか」を考えることが継続改善につながると思います。

決め手は、正確さと安心して改善を任せられること

 

千葉

率直に伺います。初回以降も継続して弊社にお声がけいただいている理由は、どこにありますか。

藤田様

一言でいうと安心感です。機能や費用も大切ですし、コンペが必要な場合もあります。ただ、DMKはキャンペーンを“やって終わり”にしない。毎回振り返り、問い合わせ状況から導線を改善し、景品ラインナップやデータの取り方を見直し、途中の相談にもできる方法を考えてくれる。

千葉

ありがとうございます。

藤田様

また、山口さん(編集注:事務局実務担当の弊社社員)の存在は大きかったですね。定例報告では難しい内容も含まれるのですが、何をどう管理しているのかが伝わってくる。Excelの計算式まで全部頭に入っているのではないかと思うほど、聞けばすぐに説明が返ってきます。事務局としての正確さ、きめ細かさは、これまでお願いしてきた会社と比べても非常に印象的でした。御社と継続している大きな理由の一つです。

千葉

ありがとうございます。私や山口としても、藤田さんからは、自社や製品への強い思いをいつも感じています。私たちも、その期待に何としても応えたいという気持ちになります。単なる事務局運営ではなく、メーカーの販促活動を継続的に改善するパートナーでありたいと考えています。

藤田様

その姿勢は感じていますよ(笑)。次の体制でも、成果を上げるために一緒に取り組んでいきたいですね。

成功事例をつくるより、改善サイクルを残す

 

千葉

この記事を読んでいるメーカー販促担当者に向けて、大切だと思うことを教えてください。

藤田様

キャンペーンを単発で終わらせないことです。売上はもちろん重要ですが、次回に活かせる学びを残すことも同じくらい重要です。どの告知物から流入したか、どの店舗で購入されたか、どの景品が選ばれたか、どの段階で問い合わせが発生したか、お客様はどこで不安になったか、販売店は説明しやすかったか、次回はどこを簡略化すべきか。こうした振り返りが次の施策を強くします。

千葉

今回も、マイページ、チャットボット、景品ラインナップ、週次確認、告知物別の分析、追加提案など、複数の改善を積み上げてきました。

藤田様

一つ一つは地味に見えるかもしれません。でも販促キャンペーンの成果は、そうした地道な改善の積み重ねで変わると思っています。

販売店・ユーザー・ブランドをつなぎ、購入後まで安心できる体験へ

千葉

今後の販促キャンペーンについて、どのような方向性を考えていますか。

藤田様

販売店とお客様の双方に価値があるキャンペーンを続けたいです。販売店にとって提案しやすいこと、お客様にとってわかりやすく安心して参加できること、メーカーとしてブランド価値を損なわず購入の後押しにつながること。この三つのバランスが重要です。

千葉

テレビだけでなく、冷蔵庫、洗濯機、エアコンへカテゴリーが広がるほど、お客様との接点も増えていきますね。

藤田様

はい。販促キャンペーンも単なる値引き施策ではなく、ブランドを知っていただく機会として活用していきたいです。さらに、購入時だけでなく購入後の安心も伝えていきたいと思っています。

海外発ブランドだからこそ、もっと伝えたい日本国内のサポート体制

 

千葉

最後に、一般の消費者の皆さまへ、今後のメッセージをお願いします。

藤田様

ハイセンスジャパンでは、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコンなど、日々の暮らしを支える家電製品を幅広く展開しています。

テレビでは、RGB MiniLEDや量子ドットを搭載した4Kテレビ、ネット動画を快適に楽しめるスマートテレビなど、幅広いラインアップをご用意しています。冷蔵庫・冷凍庫では、450Lクラスのモデルからコンパクトモデルまで展開し、自動製氷、セレクトチルド室、除菌・脱臭機能などを備えた商品もご用意しています。また、エアコンについても、内部クリーン、抗菌はっ水フィルター、スマホアプリ対応モデル、スポットエアコンなど、快適な空間づくりに向けた商品を展開しています。ぜひ店頭やECサイトで、実際の商品をご覧いただければと思います。

また、ハイセンスは海外発のメーカーですが、白物家電も黒物家電も、お客様からのお問い合わせには365日・24時間対応しています。サービス体制も全国ネットとなっておりますので、お困りのことがあればすぐに対応できます。手前味噌ですが、国内メーカーから転職してきた社員からも、「ハイセンスが日本のメーカー並みにサポート体制を整えていることは、もっとアピールした方がよい」なんて言われます。製品の魅力はもちろん、購入後も安心して使っていただけることを、今後さらに伝えていきたいですね。

千葉

製品、キャンペーン、購入後のサポートまで含めてブランド体験をつくっていくということですね。本日は貴重なお話をありがとうございました。

藤田様

こちらこそ、ありがとうございました。

販促キャンペーンは、運営ではなく“改善活動”である

メーカーの販促キャンペーンは、外から見ると「応募を集める施策」に見えるかもしれません。しかし実際には、商品、販売店、ユーザー、事務局、景品、データ、問い合わせ対応が複雑に絡み合う、実務負荷の高い取り組みです。

今回の対談で印象的だったのは、キャンペーン成功の鍵が派手なアイデアだけではなかったことです。

景品ラインナップを時代に合わせて見直す。チャットボットやFAQで自己解決導線を整える。週次で数字を確認し、運用を改善する。採用されなかった案も含めて、次回の可能性を議論する。問い合わせ内容を、単なる対応履歴ではなく改善材料として扱う。

こうした一つ一つの積み重ねが、メーカー販促の成果を変えていきます。

「キャンペーンを実施したか」ではなく、「キャンペーンから何を学び、次にどう活かしたか」。

メーカーの販促担当者にとって、本事例は、単なる成功事例ではなく、販促活動を継続的に改善していくためのヒントになるはずです。